【正しく歩め(常不軽菩薩縁起)】

預流果に達した人は、次の言葉の意味するところを完全に把捉しているであろう。 『誰だって...』 その先に、衆生のすがたがある。

『誰だって...』 この意味を把捉した人は、「孤独の境地に励むこと」の意味をも知るだろう。少なくとも、それが「自分さえよければいい」とか、「自分はそんな馬鹿なことはしない」とかではないことは理解するだろう。 『誰だって...』だからこそ、こころある人は孤独の境地にいっそう励む。

「孤独の境地に励むこと」は、他の多くの人々(衆生)を救うことになる。常不軽菩薩縁起は、このことを言っているのである。修行者は、気高くあれ。孤独の境地に励んで、自分だけでなく他の人々をも安らぎに近づけよ。

正しい道を、正しく歩めば、究極の境地(ニルヴァーナ)に必ず到達する。しかしながら、それをどうしても為すことができないのが衆生である。こころある人は、正しいことを正しく為せ。真実によって虚偽にうち勝て。他ならぬ自分自身に打ち勝って、一切勝者となれ。