【徳行の本体】

この世には、4つの徳行がある。 それは、堪え忍ぶこと、誠実であること、慳みしないこと、自制することである。

ところで、徳行とは行為そのものではない。 行為を為す根底の「それ」が徳行の本体である。 この行為を為す根底の「それ」とは、断乎としてそれを行うことを指す。 すなわち、その断乎たる覚悟が実は徳行そのものなのである。 目に見える行為は、徳行を為し終わったあとの残り香のようなものに過ぎない。

もちろん、この「断乎」と言うのは闇雲なことではない。 咄嗟のことでも、熟慮の末のことでも、考えたことでも、聞き知ったことでも、想起したことでも、その他どんなことでも、それらがどうであろうと行き着いたあり得べき究極の結論はこの唯一のものであると確信されるものであり、この行為を自分は必ず行なうであろうと言う堅い決意が「断乎」ということである。 そして、その具体的な行為は理法に適った正しいものでなければならない。 そのときに限り、それぞれの徳行は完成され、確かな功徳のよすがとなるのである。