【預流果】

この一なる道を見い出し、歩み始めた人を預流向と言う。 真っ直ぐに進めば、必ずやニルヴァーナに到達するであろう。

ところで、せっかくこの一なる道を見い出しても、先を急ぎ過ぎて落とし穴に落ちてしまっては話にならない。 しかしながら、「苦い薬の(準)公案」を通過した人は、その 畏れがない。 それで預流向の完成たる預流果を認定するのである。 このような立派な人は、最速の競歩で歩んでも足を痛める心配はないだろう。 かれ(彼女)にとって道は平坦で、何の障害もない。

また、せっかくこの一なる道を見い出しても、手に持った地図を見ることなく慌てて道を急げば、うっかり道を逸れてしまうだろう。 しかしながら、「そろばんの(準)公 案」を通過した人は、その畏れがないので預流向の完成たる預流果を認定するのである。 このような落ち着いた人は、水先案内無しでも目的地(ニルヴァーナ)に正しく到着するだろう。


[補足]
苦い薬の(準)公案:

 苦い薬があったとき、その苦さも薬効であると考えなければならない。 苦ければ苦いほど薬効も高い。 それはなぜか?


そろばんの(準)公案:

 江戸時代の話。 幕府にそろばんの名人を登用することになった。 その登用試験を切れ者で知られる老中が行うことになった。 幕府の面々が居並ぶ中に進み出たそろばんの名人。 老中は、厳かに試験問題を出した。 その問題とは何か? そろばん名人はどう対応したか? 試験の合否は? 判定の根拠は? それを示せ。