【壮絶なことに遭遇しても】

人は何か壮絶なことに遭遇して首尾よくその困難を乗り越えると世の最高の宝を得たように思い、勝利に酔いしれるが、実は何一つ得てはいない。 人はそのことによって安らぎに近づくこともなければ解脱することもないからである。

人は静けさとともに覚りに近づき、勝敗を捨て去ることによって解脱する。 そもそも菩薩は壮絶なことに遭遇することがない。 菩薩は静けさと栄えの中にあってそこで発心し、また解脱するからである。

勝利に酔いしれる人生は危うい。 酔いしれて何もしないうちに人生が終わってしまうからである。