【刃物と言葉と愚者と賢者】

刃物をぞんざいに扱い弄ぶならば、返って自分自身を傷つけてしまう。

言葉をぞんざいに使い弄ぶならば、返って自分自身を損なう。

刃物は正しく扱ってこそ、切れ味が料理や加工に役立つものとなる。

言葉は正しく使ってこそ、談論が安らぎに役立つものとなる。

愚かな者どもは、刃物をぞんざいに扱い弄ぶように言葉をそんざいに使い弄ぶ。 しかし、彼らはその行き着くところを知って愕然とすることになる。

賢者は、刃物を慎重に扱い巧みに操作するように言葉を慎重に用い大いなる利益(りやく)の機縁と為す。 そして、賢者は自らを円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと至らしめ、一切の苦悩が終滅した自分自身を発見するのである。

愚者は、自分の愚かさを知ることができない。 悪人は、自分の悪を知ってもそれを止めることができない。 しかしながら、賢者は、自分の愚かさを知って悪をとどめ、ついに解脱するのである。