【聡明】

賢い象は、沼地を恐れて近づかない。 彼は弱いからそうするのではない。 沼地においては、彼の重い体重や大きな身体が利点とはならず、むしろそれは身を滅ぼす要因となることを察知しているからである。 このような象は聡明であると言われる。

賢者は、悪を恐れて近づかない。 彼は弱いからそうするのではない。 悪処に身を置いたならば、彼の高い知能も多くの知識も深い経験も役に立たず、むしろそれは身を滅ぼす要因となることをこころに知っているからである。 このような人は聡明であると言われる。

賢い象は、自らを全うして大地の王者となる。 賢者は、自らによって自分自身を解脱せしめて法(ダルマ)の体現者となる。

真実の理を耳にして、理に従う人は究極に到達する。 安らぎを求める人は、聡明であれ。 この真の聡明さは、誰しもが持っている筈のものであるからである。