【人の覚りの二つの道筋】

人の覚りは、大きく分けて二つの道筋がある。 一つは自力で覚るものである。 もう一つは善き人との縁によって覚るものである。

自力で覚る人は、おそらく極めて少ない。 自力で覚る因縁をもって生まれてくる人がそもそも少ないからである。 さらに現代社会においては、自力で覚る道を歩むことは難しくなっている。

善き人との縁によって覚ることは、誰に対しても勧められる道である。 法(ダルマ)は、時に善き人の口を借りて世に出現するからである。

それゆえに、もし解脱して円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと至ることを願う人は、他の人々と善くつき合うことを心がけるべきである。 一方的に言葉を発したり、他の人から自分に向けて発せられた言葉に注意を向けないことは決して望ましいとは言えない行為である。

こころある人は、聡明にして、自らの明知の輝きによって道を見い出し、稀有なる法(ダルマ)を耳にして、自分自身によって自分自身を究極の境地へと至らしめよ。