【ためになること】

世人は、世間の利益(りやく)になることがらをためになることであると考える。 しかし、真にためになることは世間の利益(りやく)につながることとは違うものである。

世人は、何かの役に立つことがらをためになることであると考える。 しかし、真にためになることは何かの役に立つとか役に立たないとかいうことを超えている。

世人は、詰まるところ楽しみに結びつくことがら、あるいはまた苦を回避するためのことがらをためになることであると考える。 しかし、真にためになることは安らぎに至る道の糧を指す。

それゆえに、もろもろの如来は説く。

 ○ 善からぬこと、己のためにならぬことは為し易い。 ためになることで、しかも健全なことは、実に極めて為し難い。