【功徳の機縁】

世の愚かな者どものあからさまな願いを知って、その願いそのものとは限らずその願いの根底の希求するところを叶え、しかし決して悪に加担することがないならば、それは大いなる功徳の機縁となる。

世の知者の根底の希求するところを識って、その希求するところのものそのものを叶えることとは限らずその希求するところの根底の「それ」の真実を自ら明らめ、しかも善をわずかでさえも損なうことがないならば、それは大いなる功徳の機縁となる。

愚かな者どもの為す愚かなことさえも、人の覚りの機縁となるものである。 知者の為す立派な行為が、人の覚りの機縁となることはなおさらである。 それゆえに、こころある聡明な人は、先ず何よりも自らの心を矯めて、よく気をつけて世を遍歴せよ。 覚りの機縁は身近なところに存在し、法(ダルマ)もまた極身近なところに出現するのであるからである。