【順逆の念】

順逆の念が、人の心を疲弊させる。 順逆の念が、人をけしかけ労苦へと駆り立てるものである。 順逆の念が、人の平らかなる歩みを乱す因である。 それゆえに、順逆の念を離れた人は、心が疲弊することがなく、何かに駆り立てられることがなく、自らの人生を平らかに歩み行く。

我ありという想い(=我執)が、順逆の念を生むもとのものである。 人が、この我執(我ありという思い)を捨て去るならば、かれは一切の煩いから解放されるであろう。 それは、かれのあらゆるこだわりを打ち砕く心の土台となる。 人は、この堅固な土台に立脚して覚りを体現するのである。

人は、決して自らを卑下してはならない。 しかしながら、それよりもなお、他の人を軽んじてはならない。 他の人を見下し、貶め、辱めてはならぬ。 この戒めを尊守して、己の心と相手の心をともに護りぬいたとき、人は順逆の念を離れ、我執(我ありという思い)を打ち砕くに至る。

こころある人は、心を護って、心に巣くう順逆の想いを払拭せよ。