【目を凝らして】

他の人が為す見事な振る舞いに目を凝らし、その真意をさとって、以って自己を省みる人には少なからぬ福徳が生じる。 かれは賢者であると知られる。

他ならぬ自分自身が為した行為の過失に目を凝らし、その帰趨を見定めて、以って自己を省みる人には少なからぬ功徳が生じる。 かれは知者であると知られる。

人の行為の中に、見事さと過失とを二つながらに認め、そのすがた(=実相)を見知り聞き知って、以って自己を省みて、善悪を超え、よく気をつけていて、慢心にも卑下にも陥ることがない人は禍福の因をつくることがない。 かれは明知の人であると知られる。

賢者は福楽を享受し、知者はこころの平安を体現し、明知の人は全き安らぎに住する。

こころある人は、心構え正しくよく気をつけて世間を遍歴し、人の行為の帰趨を見極め、世の真実を知り究めて、自ら抱く執著を離れ捨て去り、苦悩の終息と終滅とを我が身に体現せよ。