【宗教には属さない】

世人が、この世の繁栄の継続あるいはその増進,転換を願い、また来世での幸福とを願って、自らに依らずにそれを達成しようと祈り行なう儀式、教義およびそれらにまつわることがらの総体を<宗教>と名づく。

しかしながら、人が不滅の安穏に至るその道はいかなる宗教にも属さない。 それゆえに、もし人がやすらぎを求めるのであるならば、宗教と名づけられるあらゆる迷妄と妄執の所産からこころを解き放ち、それだけでなく世間の束縛のくびきをすっかりと離れて、世間にあって世間に汚されることなく、よく気をつけて遍歴すべきである。 人は、そのようにして正しい道を見い出すのであり、異教にさそわれることのない人が、ついに円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)に至るのである。