【六祖壇教 智常の参門】


*** 引用(六祖壇教の和訳から)

 智常とよばれる僧がいた。曹渓山によって来て、先生(=六祖慧能)を礼拝し、四つの乗りものについてたずねた。智常は先生にたずねた、「ブッダは三つの乗りものを説かれました。さらに最上の乗りものというのが、わたくしにはわかりません。どうか教えてください」

 慧能大師はいわれた、「君自身、自分で考えなさい。外にあるものの形にとらわれてはならん。はじめから四つの乗りものがあるのではない。人の心に四つの等級があるために、四つの乗りものが出てくるのだ。経典を見聞し読誦するのは小さい乗りもので、教えを知り、教えを理解するのは中位の乗りもので、教えの通りに行ずるのが偉大な乗りものである。あらゆる教えに通じ、あらゆる行を重ねて、すべてを捨てることなく、ただものの分別を捨てるだけであり、作用してとらえるもののないのが最上の乗りものである。乗るとは行ずるとiいう意味である。口で論ずることに関係はない。君は自分で行ずるべきである。わたしに問うことはない」

*** 引用おわり