【六波羅蜜】

勝鬘経(摂受正法章)は、六波羅蜜と正法の関係について次のように述べています。


*** 和訳経典から引用

{前を略}

さて世尊よ、〈真実の教えをしっかりと身につける〉と申しますが、ここで、真実の教えそのもの(つまり〈正法〉)と、それをしっかりと身につけることは、別々のことではございません。 真実の教えをしっかりと身につけること自体が、真実の教えなのでございます。

ところで、この〈真実の教えをしっかり身につけること〉は、もろもろの完全・究極的な実践行(〈波羅蜜〉)と別ではございません。 真実の教えを身につけることは、具体的にいえば、六つの完全・究極的な実践行を実践することに他なりません。

{後略}

*** 引用おわり


[補足説明]
六波羅蜜とは、次の6つのことを指しています。

 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧

なお、このうちの布施、忍辱、精進、持戒の4つを徳(徳目)と名づけ、これらは不完全ながらも世間において見ることができるものです。 一方、禅定、智慧の2つは、如来および善知識のみが持つ特質であり、この2つは出世間の立場においてのみ世に現出し、人々(衆生)に向けて示現されるものです。