【輪廻のこと】
輪廻という考え方があって、仏教が成立するのではない。覚りの道について説くことにおいては、輪廻を交えずに説くことができるからである。
輪廻という考え方を無しにして、仏教の説がすべて完備するのではない。現実に、覚った人は輪廻せず、衆生は苦の輪廻を繰り返しているからである。
こころある人は、輪廻についてのこだわりを離れよ。覚ったとき、すべては明らかとなるからである。
たとえば、
麻薬というものへの熟知があって、薬学が成立するのではない。薬を論じることにおいては、麻薬の存在を交えずに語ることができるからである。
麻薬というものの存在を無視して、医学が成立するのではない。現実に、手術の時には麻薬を用いる場合があるからである。
しかしながら、普通の生活を送ることにおいては麻薬のことを気にする必要はない。もちろん、常用するのは危険きわまりない。
大事なことは、大手術を受けなければならないような事態に陥らないように、健康な生活を心がけることである。
輪廻のことも、いわばこのようなスタンスを以て考えるべきことに他ならない。