【利点や長所】

世人が、これこそ自分の利点や長所であると見なしているものが、実は彼自身を苦しめている。その事実を見極めたとき、人と世の真実を明らかにすることができるであろう。そこで、衆生のすがたを見たならば、智慧を生じて解脱が起こると説かれる。

世人は、この自分の利点や長所こそが自分そのものであると見なしている。しかしながら、彼には欠点や短所もある。利点や長所とは別に欠点や短所があるのではない。利点や長所そのものが、実は欠点であり短所なのである。この見難き真理を見よ。ここに世人は迷っているのである。

「苦い薬の(準)公案」を通過した人は、この機微を理解しているであろう。利点や長所そのものが、実は欠点であり短所なのであると言うことは、賢者には自明の理だからである。