【言葉によって得る人】
この世では、忠告することよりも聞く耳を持つことの方がすぐれている。 それゆえに、自分が他の人に向かって言葉を発することよりも沈黙することの方がすぐれており、また他の人の言葉を遮ることよりも他の人に気持ちよく語ってもらうことの方がすぐれていると知られるのである。
愚者は、互いに言葉を投げつけるだけで得ることがない。 知者は、耳聡く他の人の語るところを注視して、得るべきものを得、得るべからざるものはさらりと捨て去るのである。
人は、行為によって何者であるかが知られる。 人は、行為にふさわしい処へと赴く。 愚者は、互いにぶつかり合いながら、かれ自身思いもよらない悪処へと至ることになる。 その一方で、知者は互いに善き言葉を聞かせ合って、円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと到達するのである。
こころある人は、言葉を縁として究極の善き処へと到達せよ。 何気ない言葉として世に出現するその稀有なる言葉(=法の句)を耳にして、道の歩みを浄めかし。 円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)は、それぞれの人の極近くに存在するものであるからである。