【まっすぐに進めば目的地に到達する】

まっすぐに進むことは簡単そうに思えるものである。 しかしながら、実際にはまっすぐに進むことは決して容易なことではない。

人をして円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと導き至らしめるこの一なる道は、まっすぐに進めば目的地に確実に到達する道である。 しかし、人はあれこれと余計なことを考えては道を折れ、あるいは知らず知らずのうちに情に流されて道を逸れてしまうのである。

闇雲であっては、まっすぐに進むことは出来ない。 それは眼をつぶったまま歩くようなものだからである。 しかし、だからといって道々の景色に足を止め、ふと目に留まった施設などに心を奪われているのでは先に進むことができない。

まっすぐに進む人は、必要な時に必要なものを見て道の歩みを確からしめ、必要の無いものに心を奪われることがない。 かれは、自分のペースを保って着実に目的地へと近づく。

途中で道を尋ねることは、恥ずかしいことではない。 適宜に尋ね聞いて知ったことを、道の歩みに役立てるべきである。 しかし、尋ね聞いたことがらによって、かえって道に迷うようでは困ったことである。

いとも聡明な人は、その途中に何があろうとも自らの明知によって正しい道を見い出すであろう。 そうして、まっすぐに進んで、この安らけく究極の境地(=ニルヴァーナ)へと到達するのである。