【想い】

想いが、人の心を縛り、人の心をなげうつものである。 それゆえに、世間の何を見聞きしようとも(固執の)想いを生じない人は、心が何かに縛られることがない。 心がなげうたれることがない。

円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)を求める人は、自らの想いを超え、世間の想いをも超えて、想いの真実のすがたを理解せよ。 聡明な人は、他の人の想いのありようにではなく、自らの想いのありようについて適時に省察すべきである。 それによって、ついに想いの真実のすがたを理解するに至ると期待され得るからである。

心がざわつき、何ものかに駆り立てられている人は、想いに心がとらわれているのである。 その根底の本なるものを知り究めよ。 乱れた心が次第に静けさを取り戻すさまを能く注視して、その根源を見極めるべきである。 識別作用は、ひろがりの意識によってもたらされるものであることを識って、人を苦しめるその根底の想いを超克せよ。