【満ち足りた心の完成】

おびただしい財によっても、ゆたかな才能によっても、うるわしき美貌によっても、何によっても、人は満ち足りることはできない。 人は、人間関係のあり得べき姿を究めてこそ満ち足りるのであるからである。 それは、世間の情愛とは違うものであるが、慈悲と平等とを突き詰めたところにおいて完成されるものである。

満ち足りた人には、嫌悪が無い。 満ち足りた人は、人間不信を払拭している。 実に、満ち足りた人は人々を煩わせ悩ませる根底の疑いを離れているのである。

こころある人は、やすらぎに向かう観を為し、為し遂げて、満ち足りた心を完成せよ。 人は、それによって一切の争いを超克し、円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)に至るからある。