【志】

心構え正しく、聡明であって、自己を妄想する不当なる思惟の根本を断じ、順逆の念を離れ、勝敗を捨て、煩悶を制し、怒りを静め、欲望の燃えさかること少なく、世間を平らかに見て、自らが自らに打ち勝って争いを超克し、人と世の真実を知ろうと熱望している人。 かれこそ志のある人である。

かれは、人間関係においても、誰もけしかけず、いかなる人にもけしかけられず、言葉を慎み、行ないを慎しみ、意(おもい)を慎み、人を怨むことも人に怨まれることも無い。 それゆえに、かれがいわゆる「出る杭」であったとしてもかれの属する集団の調和が乱れることは無く、またかれが最上の謙虚さを発揮したとしても集団の行く末に不吉なことは見出せない。 かれは、破滅から遠く隔たっているからである。 それゆえに、かれの属するその集団は<幸福に栄える>ことになる。

こころある人は、ひととしてのあり得べきこの(健き)志をもって自らの人生を歩めかし。