【疑念】

できることを、できないと断言する人。 かれには疑惑がある。

できることを、できる筈だと言う人。 かれには、なお疑念と不信とが残っている。

できることを、できることであるとこころに知って、公言することなく、そのことについてのこだわりそのものをすでに払拭している人。 かれには、疑惑も疑念も不信もなく、明知があるのであると知られる。 かれは、それゆえに<明知の人>と称される。

ところで、疑惑の人も、疑念ある人も、不信の人も、あり得べきその真実のすがたを体現したならば、かかる妄執を断ち切ったのであり、明知の人と何ら変わりはない。 かれは、ついに安らぎに住して、一切と争うことがなくなるであろう。 それこそが、できることなのである。

こころある人は、信に篤く、疑惑を超え疑念を離れて、虚妄ならざる安らぎ(=ニルヴァーナ)を我が身に体現せよ。