【決意と決心】

こころある人は、正しい決意にもとづいて発心を起こす。 また人は、正しい決心にもとづいて覚りの境地に至ることになる。

これらのことがらは、すべからく因縁にもとづいて起こることである。 しかしそれは、世間において運命や宿命などと称されるものとは違うものである。 なんとなれば、これらのことはかれがことに臨んだそのとき(=大事の局面とも称す)において、世に稀有に出現した法の句によってもたらされることであるからである。 それこそが彼の功徳である。 そしてそれぞれの功徳は、世間のあらゆるものを超えた至宝である。

それゆえに、こころある人は決意や決心ということを弄んではならない。 正しからざる決意や決心は、人々を煩いと苦悩に追い立てるものであるからである。

道を求め、道を歩む聡明な人は、正しい決意によって煩いを離れ、正しい決心によってついに苦悩から解脱せよ。


【補足説明】
決意と決心とは、覚りの道の歩みにおいて実際に起こることである。 人の覚りは漫然として得られるものではなく、まさしくこのようにして得られるものである。