【裏切られないものを信ぜよ】

人は、次のようにして覚りの境地に至る。

● 人をして安穏の境地に至らせ、そこに安住せしめる不滅の法(ダルマ)の存在とその威力についての正しい信仰があり、その法を知って自らがブッダになろうと決心する正しい発心を起こした人が、徳行において精励し、聡明であって、真実の教えを聞こうと熱望し、善知識が発する法の句を聞いてそれが正法そのものであることに気づき理解し、諸仏の智慧を一つでも自らのものとするならば、ついに解脱して覚りの境地に至る。

そして、人がこの一なる道を歩むとき、次のことをこころから信じなければならない。

○ すべての人が等しくこころに受持する筈の、本性と名づく善を超えた善なる「それ」の実在
○ 法(ダルマ)の確かな存在とその人を解脱せしめる力
○ 他ならぬ自分が仏になれるということ

このとき、人は信じたものに決して裏切られてはならず、決して裏切られることのない「それ」をこそ信じなければならない。 それがまさしくそのように為し遂げられたとき、かれは正しい信仰を確立したのである。

明知の人は、ことに臨んだまさにそのときにこそ、まごうことなき明知の人であれ。 人を決して裏切ることのないもの(=法(ダルマ))は、まさしくそのようにして体得されるのであるからである。


[補足説明]
ここなる人が、決して裏切られることのない「それ」が何であるかを理解したとき、かれは平等観を完成したのであり、<基本的公案>を確かに解いたのだと認められる。 このとき、因縁があれば解脱が起こる。