【この世において最も不可思議なこと】

衆生は、『心』と称するものによって欲望を起こし、執著を生じて、種々さまざまな苦悩をその身に受けている存在である。

しかしながら、驚くべきことに、人はその『心』と称するものによってその同じ『心』を滅し、一切の苦悩から解脱するのである。 したがって、人が『心』と称するものを有する限り、覚りの境地に至り得ることは保証されていると言えよう。

そして、実にこれこそがこの世において最も不可思議なことである。

こころある人は、世にも不可思議なこの事実によって解脱を生じ、不滅のやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと到達せよ。