【最高】

正法が記された<経典>に限らず、もろもろの如来が説く理法の言葉に限らず、善知識がまさしく発したその言葉(=法の句)に限らず、特定の何かを最高であると見なし固執して、自分ならざる何かに依拠するならば、少なくともそのままにおいてかれ(彼女)が覚りの境地に至ることはあり得ないこととなる。

しかしながら、この世に最高ということが存在しないのではない。 なぜならば、智慧に生きることが最高であると知る人は知っているからである。 そして、人はこの最高のものをこそ求めるべきなのである。

ところで、(諸仏の)智慧によってもたらされる不滅の安穏(=ニルヴァーナ)はなぜ最高であると知られるのであろうか。 それは、ニルヴァーナが一切と争うことが無い境地であり、一切について迷い無き境地であり、一切の苦悩を滅した境地であり、一度そこに至ったならばそのやすらぎが失われることが無く、またいかなる人をもそのやすらぎを奪い取ることができないゆえに、まさにそれゆえにニルヴァーナは最高であると知られるのである。