【三種の明知】

覚りの境地に至った時、直ちに次の3つの智(三種の明知)を生じます。


(1) 漏尽通

自分が、間違いなく覚りの境地に至ったのだということを如実に知ることを漏尽通と言います。 それは例えば、自分が赤色が分かるようになったとき確かにすべての赤色が間違いなく分かることを如実に知るようなものです。

(2) 宿命通

自分にとっての善知識が誰であったのかを如実に知ることを宿命通と言います。 つまり、自分が覚りの境地に至る際に認知した「法の句」が、誰が放ったものであったかということについてはっきりと思いだし、その人とは確かな宿命(因縁)があったのだと後追いで知るのです。

(3) 天眼通

自分にとって、目を背けるべき対象がまったく無くなったことを実感することを天眼通と言います。 すなわち、人々(衆生)は、好き嫌いの想いがあるゆえに すべての対象物を公平・平等に見ることができずにいますが、覚りの境地に至った人は好き嫌いの想いが消滅するゆえに、すべてのものを公平・平等に、毛嫌い することなく見つめることができるのです。