【無敵】

武道を志す人の多くは、自分が最強になることを目標にしているかも知れません。 そのような人は、そもそもどのような武道を習うのかを選択するという最初の段階において、どの武道が最強であるかについていろいろな角度から調べあげ、それらを比較してそのことを見極めようとすることでしょう。 しかしながら、そのように目移りしているうちに、何が最強であるのかということ自体が分からなくなって当初の目的を見失い、結局はどの武道も選択できなくなってしまう人も出てくることでしょう。 そうして、何もしないまま時間だけが過ぎていくこともあるでしょう。

さて、そのような中にあって、無敵を標榜する武道があります。 その武道の創始者は、次のように言っているからです。

 ”この武道は、半年修行したら無敵になるんやで”

それを創始者の口から直接聞いたあるお弟子さんは、いくらなんでもそれは言い過ぎだろうと思ったそうですが、ずっと後になってその真意を理解したと懐述しておられます。


[真意は]

 無敵とは、敵自体がいなくなること。 誰とも敵対しないこと。 誰とも争う必要がなくなること。 争いの種が根こそぎなくなることである。 そのようになることが最強であり、そうなれば負けることはあり得ない。 それを極めるために、敢えてこの武道は武道として修行される。