【ひけらかさない】

人に見せびらかす心、ひけらかす心があるとき、他の人に寂しさや切なさや悲しみを心ならずも与えてしまうものです。


[譬え話: みーちゃんとまーちゃん]

みーちゃん) 見て見てェ。 新しいゲームソフト買ったんだ〜! きゃびきゃび。
まーちゃん) え〜っ。 いいなぁ。
みーちゃん) {まーちゃんのことなど眼中に無くゲームに夢中} えいっ。 やっ。 きゃぴきゃぴっ。

まーちゃんは決心する。 そして心の中でつぶやく。

 {よ〜し。 あのゲーム、私も買うんだ〜。}
 {今はお金がないけど、もうすぐお正月だからお年玉で買うんだ〜}

さて、お正月になって首尾良くお年玉を手に入れた「まーちゃん」は、早速おもちゃ屋さんへ行く。

まーちゃん) え〜〜っと あのゲームソフトは〜?? {と探す}
 
しかし、そのゲームソフト売り場には売り切れの文字が...

まーちゃん) そっか。 お正月だからみんなお年玉もらったんだ〜。 だから売り切れか〜。
まーちゃん) ん〜〜〜。 仕方がない。 また来週見に来よう。

そして来週になって

まーちゃん) え〜〜っと あのゲームソフトは〜?? {と探す}
 
しかし、そのゲームソフト売り場にはまだ売り切れの文字がそのままに...

まーちゃん) ん〜〜〜。 仕方がない。 また来週見に来よう。

そして、さらに一週間が経って...

まーちゃん) え〜〜っと あのゲームソフトは〜?? {と探す}

今回は、お目当てのものがある!!

まーちゃん) やった〜!!! これでみーちゃんと遊べるぞ〜!!!

まーちゃんは、ゲームソフトを購入してみーちゃんの家にさっそく遊びに行く。

まーちゃん) 見て見て。 あたしもあのゲームソフト買ったんだ〜。 遊ぼう。 遊ぼう。
みーちゃん) え〜〜っ?! あたし、あのゲームはもう遊び飽きちゃったんだよね〜。 だいぶ前に買ったし〜。

まーちゃん) え〜〜っ。 そうなのォ〜。

まーちゃんは心の中で思う。

 {え〜〜ん。 たくさん、待って待って待って やっと買ったのに〜。}

みーちゃん) 見て見て。 あたしさ〜。 別のゲームソフト新しく買ったんだよね〜。
まーちゃん) え〜〜っ!

まーちゃんは心のなかで泣きしゃぐる。

 {え〜〜ん。 みーちゃんと一緒に遊ぼうと思って、たくさん、待って待って待ってやっと買ったのに〜。}
 {新しいゲームソフト買いたいけど、もうお金ないし....}
 {え〜〜ん。 え〜〜ん。 じゃあ あたしどうすれば良かったの〜}
 {また、たくさん待たないといけないの〜。 え〜〜〜ん。 え〜〜〜ん。}

まーちゃん) じゃ..あ。 みーちゃん。 ま..た..ね..。 {と寂しく帰る}


誰が悪いのでしょう?:
みーちゃんが見せびらかしたのが悪いのでしょうか? 確かにそう見えるのですが..。

では まーちゃんをどう慰めれば良いのでしょうか?:


泣きしゃぐるまーちゃんを見かねて、お父さんが言う。
お父さん)  まーちゃん? みーちゃんが見せびらかしたからいけないのかな〜?
まーちゃん) うん。 そう。 きっとそうよ。 え〜〜ん。
お父さん)  でもね。 まーちゃんがみーちゃんの立場だったらまーちゃんも見せびらかしたんじゃないか?
まーちゃん) だってェ。 もし、そうだったら、あたしだって見せびらかしたいもん。
お父さん)  でも、そうすると、今のまーちゃんみたいに誰かお友達が悲しい思いをするんだよ。
まーちゃん) えっ? {一瞬、泣きやんで} そう..だよね?!
お父さん)  だから。 見せびらかしちゃいけないんだよ。
まーちゃん) {しばらく考え込むが..} わかった。 あたし、新しいもの買ってもお友達に見せびらかすの止めることにする!
お父さん)  そうか。 わかったか。 そうするんだよ。
まーちゃん) うん。 わかった。 きっと、そうする。 あたし、きっと、そうする。

しばらくして...

お父さん)  まーちゃん? みーちゃんが悪かったと思う?
まーちゃん) ううん。 思わない。 あたしだってきっと見せびらかしただろうから。 でも、あたし あたしは見せびらかすの止めにする。
お父さん)  そうか。 ... そうか。 そうするんだよ。
まーちゃん) うん! きっとそうする。 あたし、きっとそうする!


[補足説明]
このような悲しみの本質とは、それが買えないことでは無くて、買えるはずなのに(売り切れで)買えないことであり、買えたときには時すでに遅しということであり、友達と仲良く遊びたいという本当の目的が遂げられないことにあります。 そして、一度このようなことがあると、次も同じような悲しい結果になるのではないかと恐れて素直な行動がとれなくなることにあるのです。

[補足説明(2)]
覚りの境地に至った人は、世の中にはこのような悲しみがあることを如実に知って、自らの境地をこれ見よがしにみせびらかしたり、ひけらかしたりすることはありません。

[補足説明(3)]
まーちゃんが、”
あたし、きっとそうする!”と言ったときのその決心を「発心」と名づけます。